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エグゼクティブの心&体ケア 日経ホーム出版社 日経EW掲載 2007年6月

組織を率いる、倒れられない立場だからこそ、心身の健康を保つことにも責任を持つ。そのために、1対1のパーソナル形式でプロと組み、ボディケアのアドバイスを仰ぐポジティブな女性が増えている。
映像・音楽コンテンツの制作・配信事業を展開するジグノシステムジャパン社長の飯田桂子さん(43歳)が、トレーナーの中垣葉子先生と出会ったのは約2年前。10年前に画像処理事業から始めた会社は、放送との提携で事業拡大。社員は約200人に、欧米に子会社も設立し、業界や国籍の枠を越え発展の時期を迎えていた。
一方、飯田さん自身は、40代になって急に太りやすく、疲れやすくなったと感じていた。体力が落ちると、気力や集中力も落ちる。部下への指示も覇気がなくなる。「会社を率いる立場として、もうその場しのぎのケアではいけないと一念発起しました」
それまでボクササイズからホットヨガまで話題の健康法は何でも試してきたが、体が根本から変わるような効果は実感できなかった。パーソナル形式の指導では、その時の症状に合った方法をプロが客観的に判断して指導をしていく。
初対面で飯田さんが告げた希望は「ダイエット」だったが、中垣先生は迷わず「まずは姿勢の矯正ありき」と説いたという。「自分の体のベストコンディションをよく知ることで、不調のサインにも気づきやすくなりました。仕事上ハードな時期であっても、『私は“チューニング”の時間を持っている』と思えることで安心できるんです」(飯田さん)
ハリウッド女優がパーソナルトレーナーをつけるという話題はよく耳にする。欧米では企業のトップもしかり。サンフランシスコで活躍する全米認定カウンセラーの鶴田育子さんは「アメリカでは企業がコスト削減で以前ほど福利厚生に力を入れなくなり、健康管理も自己責任という考え方が定着。個人がニーズを感じたら、たとえ学生や主婦であっても、パーソナルトレーナーをつけて健康管理に励みます」と話す。
 日本においても、ボディケアのプロに個人がアクセスする方法は徐々に増えつつある。心身の健康を保つために必要なメンテナンスを、正しい知識に基づいた方法で続ける。そのためのアドバイザーとして、私たちの味方となってくれるプロのことを、本誌は「ボディメンター」と呼ぶ。心身の声を聞き、改善に導く案内役に、あなたもぜひ出会ってほしい。 太田留奈・宮本恵理子(EW)●構成・取材・文  

メンタルフィットネスとは 欧日協会月報「はろう」掲載 2007年5月

アメリカ人の知り合いに、A氏というタフなビジネスマンがいる。仕事を精力的にこなし、プレゼンテーションのために、ニューヨーク、東京、ロンドンを2週間で駆け巡る。冬はスキー、夏は水泳、仕事をしないと決めている週末は、家族と折り合いをつけ、趣味のゴルフに余念がない。年収は、上限の8桁。ちなみに、高校卒業を控えた長女へのプレゼントは、家族揃ってのアフリカ旅行だった。
そんな知り合いがいる一方で、私には、また、Bさんという別の知り合いがいる。衣食住足りて家族も健在。傍目には、悠々自適の生活をしているのだが、いつも体のどこかに痛みがあり、不平不満が途絶えない。悪いところを突き止めて、なんとか元気になりたいというのがBさんの口癖で、精密検査を繰り返しているが、今のところ異常はみつかっていない。
AさんとBさん、どちらの人生に魅力を感じるかと聞かれたら、Aさんだと答える人の方が間違いなく多いだろう。
では、何が、二人の人生の質に、これほどまでの差をつけているのかと聞かれたら、どうであろうか。
アメリカで、テロリストが、液体爆弾を飛行機に持ち込むという情報が広まったときのことである。私は、そのニュースを聞いて、ほとんど毎週、出張で飛行機に乗っているAさんのことを考えた。だが、当人は、「テロの対象は、イギリス路線だ」と事実を踏まえて言い、心配するのは取り越し苦労といわんばかりに笑った。一方、Bさんは、ニュースを聞くや、「もう絶対、飛行機には乗れない」と怯え、物騒な世の中を嘆き、当面飛行機に乗る予定のない私の身を案じた。
AさんとBさんを比べると、ものの見方が根本的に違っているのである。
人間の気分は、物事をどう捉えるかによって大きく左右される。わくわくすれば、頬が紅潮し心拍数があがるように、気分の変調は、体にも大きな影響を与える。
あれこれ思い悩むとき、人は、自ずと下を向き、猫背になるので、肺や内臓が圧迫されて、大量の酸素を必要とする脳の働きが鈍り、肩こりや慢性的な便秘といった症状が現れる。気分が優れない、体調がすっきりしないという悪循環は、知らず知らずのうちに、生活の質を悪くするものなのだ。
では、物事を悲観的に捉えがちな人は、いつまでたってもすっきりしないまま、不平不満と縁を切れずに生きるしかないのだろうか。
決してそんなことはない。
こんな話がある。「混んだ映画館で、突然、女性が立ち上がり、隣の男の顔をひっぱたくや、出口に向かって駆け出した。これを見ていた若い女性は震え上がり、十代の青年は激怒し、中年の男性は抑うつ状態となって、ソーシャルワーカーの女性は微笑んだ。」
同じ現象を見て、どうしてこれほどまでに違う反応が起こったのか。
「若い女性は、かつて自分が受けた身体的虐待を思い出し、きっとひっぱたかれた男が復讐しにくると思ったから。十代の青年は、好きだった女性にけんもほろろにあしらわれ、女に恨みを持っていたから。中年の男性は、離婚した妻を思い出し、去っていった女性は戻ってこないだろうと思ったから。そして、ソーシャルワーカーは、蹂躙されている大勢の女性に見せてやりたい光景だと思ったから。」
「〜のせいでこうなった」と他人を恨んだり、社会に文句をつけたりする人がいる。だが、本当のところは、誰かに何かを言われたから、不快になるのではなく、本人が、誰かの言動を否定的に解釈したから、感情が乱れるのだ。不快な気分に陥るか、楽しい気分になるかの鍵を握っているのは、自分自身なのである。
持って生まれた素質や生活環境は、一朝一夕に変えることができない。だが、ものの見方を改善し、建設的な考え方を習慣にすることなら、今、この瞬間から、誰にでも始めることができる。これまで低空飛行だった人が、上昇気流にのるチャンスを掴めるかもしれない所以だ。
例えば、Bさんが、「Cさんが来る」と聞いて、咄嗟に、うっとうしい、面倒だ、ひどい一日になるだろうと暗い気分になったとしよう。人の感情は、過去の体験によって生まれるものなので、おそらくBさんは、Cさんとの不快な体験をいくつでも数え上げることができるはずである。皮肉なことに、ろくなことはないという予感は、気付かぬうちに自らの行動となって現れるので、Bさんが、予想したとおりの体験をし、「Cさんは、やっぱり嫌だ」という思いを強める可能性は高い。
だが、Bさんは、すでに感情が、自分自身でコントロールできるものだということを知っているので、「あの人は、こういう人だから」という否定的な固定観念を手放し、こんな関係だったらうれしいなと思う状況を思い浮かべて、1)Cさんと私は相性が悪い。2)でも、今は、以前と違うし、私も、Cさんと会わなかった間に、いろいろな経験を積んできた。3)だから、今回は、避けるのをやめて、普段の笑顔で話しかけてみようと前向きな気持ちで、Cさんと接してみる。
こちらが変われば、相手の態度は、自ずと変わる。以前とは違う体験と「今回は、うまくいった」という実感は、次もうまくいくかもしれないという希望を育み、Bさんが、さらに好ましい変化を生み出す原動力となっていく。
Text Box:  物事を多角的に検証し、前向きな解決策を考える練習を重ねることをメンタルフィットネスという。
適度な運動をすると体が柔軟になり、基礎体力が上昇するように、メンタルフィットネスを心がけていると、気持ちが明るくなって、「ない」ものよりも、「在る」ものに目が向くようになる。思いどおりにいかなかいことがあっても、「そういえば、あのときも」と過去を蒸し返し、自らの精神状態を悪化させる代わりに、「こういう風にも考えられる」、「これがダメなら、ああすればいい」と速やかに次善の策を講じ、行動できるようになるのである。
いい人生かどうかは、収入や財産の多寡ではなく、息をしているだけで幸せと感じられる瞬間をどれだけ味わうことができるかで決まるのだと、私は、思う。
「在る」ものを喜び、生きていることに感謝できる人は、周囲を穏やかな気持ちにしてくれる。一人一人が自分の一日を充実させる努力をすれば、社会全体が、少しずつ、だが確実に変化する。メンタルフィットネスは、個人の力で、バランスと調和のとれた健全な未来を創り出す出発点ともいえるのだ。

3つのCでメンタルフィットネス 北加日本商工会議所掲載 2006年12月

アメリカ人の知り合いに、A氏というタフなビジネスマンがいる。仕事を精力的にこなし、休暇のたびに家族と文字どうり世界をまたにかけた旅行をしている。冬はスキー、夏は、水泳、週末は、時間の許す限り、趣味のゴルフに精を出す。年収は、上限の7桁。ちなみに、16歳になる長女のサマーキャンプは、キャラビアンで行われた3週間の船上マリンライフ研修だった。
そんな知り合いがいる一方で、私には、また、Bさんという別の知り合いがいる。衣食住足りて家族も健在、傍目には、悠々自適の生活をしているのだが、いつも体のどこかに痛みがあり、気分が優れない。精密検査の結果は、どこにも異常がないという。
前者と後者、どちらが、人生を謳歌しているかと問われたら、十中八九、前者だと答える人のほうが多いだろう。では、前者と後者の人生の質に差をつけている原因は、何だと思うかと問われたらどうであろうか。
A氏とBさんが、現在に至った過程を見てみるとわかりやすい。? A氏は、好奇心が強く、新しいことが好きで、人見知りをしない子どもだった。A氏のように、刺激を求めて外へ出る人は、社交性に磨きがかかり、変化に対する適応力が高くなる。予期せぬ出来事に動じず、柔軟な対応ができる人は、社会的に評価されるので、自信がつく、頑張る、評価されるという好循環が生まれた。
一方、Bさんは、子供のころから慎重だった。新しいことには、周りの反応をみながらも、なかなか手を出さない。Bさんのように神経質な人は、ものごとを悲観的に捉え、思うようにならない現実に苛立ちやすい。あれこれ思い悩むとき、人の視線は下を向く。下を向けば、猫背になるので、肺活量が減り、内臓の機能が衰えて、慢性的な便秘や不眠といった症状が現れる。その結果、気持ちが沈む、体調が悪くなるという悪循環がはじまった。
二人の性格の違いが、それぞれの体験を左右し、加速度がつくことで、二人の現在の有り様に大きな開きが生じたというわけだ。
性格は、生物学的な要因、遺伝、素質、文化、生育環境、時代などの影響を受けて形成され、個人のものの見方を決める要素となる。
9/11を前に飛行機に液体爆弾が持ち込まれるかもしれないという情報が流れたとき、出張で毎週のように飛行機で飛び回っているA氏は、「イギリス路線は、使用しないから自分は大丈夫」と自信たっぷりにいい、ほとんど飛行機に乗らないBさんは、「もう絶対、飛行機には乗れない」といって怯えた。視点の違いは、個人の精神状態まで左右するものなのである。
では、性格が変わらない限り、低空飛行の人は、一生、低空飛行のままなのかといえば、もちろんそうではない。
運動すると、体力がつくように、メンタルフィットネスを心がければ、精神状態が向上し、それを維持できるようになっていく。メンタルフィットネスは、1) ストレスを感じる状況を認識する(Check)、2)違う考え方をしてみる (Change)、3)新しい考え方に基づき、できることをやってみる (Can do)の3つので簡単に行える。
Bさんが、「Dさんが来る」と聞いて、咄嗟に、うっとうしい、面倒だ、ひどい一日になるだろうと暗い気分になったとする。人の感情は、過去の体験によって生まれるものなので、おそらくBさんは、Dさんとの不快な体験をいくつでも数え上げることができるはずである。皮肉なことに、ろくなことはないという予感は、気付かぬうちに自らの行動となって現れるので、Bさんが、予想したとうりの体験をし、「Dさんは、やっぱり嫌だ」という思いを強める可能性は高い。
そこで、3つのCで、メンタルフィットネスを試みてみる。手順は次のとうりだ。
1)Cさんと私は相性が悪い。2)でも、今は、以前と違うし、私も、Cさんと会わなかった間に、いろいろな経験を積んできた。3)だから、今回は、避けるのをやめて、普段の笑顔で話しかけてみよう。
こちらが変われば、相手の態度は、自ずと変わる。今回は、うまくいったという実感は、次もうまくいくかもしれないという希望につながり、本人が、好ましい変化を作り出す原動力となっていく。
メンタルフィットネスを心がけていると、発想の転換が容易になる。たとえば、いつもピクニックテーブルを貸してくれていた親戚が、今回は渋ったというような場合、「ではこちらから取りに行こうか、そんな面倒な、大体あの人は」と過去を持ち出し、自らの精神状態を悪化させる代わりに、「ピクニックテーブルくらい自分で買えばいい、でも、安いところを探し回る時間がない、そうだ、防水シートを買って敷けばいいのだ」という風にだ。
「ああ、そうだったのか!」という気付きは、これまで抱いていた感情を反転させるだけの力を持っている。性格を変えなくても、視点を変える練習を重ねれば、精神状態が安定するので、日々の充実度が高くなる。人は、体験する事柄によってではなく、内観によって、自信を得たとき、変化するものなのである。
私は、最近、eメールの交換でできるメンタルフィットネス・カウンセリングのサービスを始めた。こまめに精神状態の調整を行えば、ストレスを溜め込んでうつやパニックアタックなどの症状を引き起こすことなく、個人が持てる力を最大限に発揮できるようになる。
メンタルフィットネス・カウンセリングは、自信の源を見つけたいと願うBさんのような人にはもちろん、第一線で活躍するA氏のように社会的信用が最優先される人の役にもたつ。状況を客観的に把握しながら、適宜、専門的なアドバイスができるカウンセラーには、匿秘義務があるので、職場の人間関係や家族のことなど、微妙な話題でも安心して相談できるからである。
いい人生かどうかは、収入や財産の多寡ではなく、息をしているだけで幸せと感じられる瞬間をどれだけ味わうことができるかだと、私は、思う。自分に「在る」ものを喜び、生きていることに感謝できる人は、周囲を穏やかな気持ちにしてくれる。一人一人が、自分自身の日々を充実させる努力をすれば、社会全体も少しずつ、だが確実に変化する。メンタルフィットネスは、個人の力で、バランスと調和のとれた健全な未来を創り出す出発点ともいえるのだ。

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エグゼクティブの心&体ケア 日経ホーム出版社 日経EW掲載 2007年6月

メンタルフィットネスとは 欧日協会月報「はろう」掲載 2007年5月

3つのCでメンタルフィットネス 北加日本商工会議所掲載 2006年12月

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